2014年度に東京藝術大学デザイン科修士課程で行われたGeidai Design Projectにて提案された成果の概要を紹介するWebページです。
一部は英語と日本語を使った2カ国語ページとなっています。


About Project

わたしたちデザイン科では大学院一年生の必修科目として「Geidai Design Project」と名付けられた、実験的かつ社会的であるカリキュラムを2006年から続けています。「Geidai Design Project」は私たち教育機関が社会とどう関係を結べばよいのか、一つの良い指針になると考えています。このプロジェクト は簡単に言うと大学外組織(行政、公的機関、企業など)に対して数ヶ月リサーチを行い、最終的にデザイン提案をするカリキュラムです。日本では今数多くのデザイン分野における教育機関と社会との連携事業が行われていますが、本プロジェクトは、デザイン科大学院生たちが領域を横断して議論をし、独創性に満ちた提案をしながら、実際に社会を動かすところまで発展している点で注目すべきプロジェクトです。このプロジェクトの特徴は下記の2点があげられます。

1.「コラボレーション」
グラッフィク、プロダクト、空間、映像、イラストレーションなど異なった専門領域の大学院生がチームを組んでいること。
2.「デザイン・ワクチン」

何々を改善してほしい、という具体的なオーダーがあるのではなく、デザインによって何が解決されるかを自らリサーチしていること。この2つの特徴は「受注」を前提にしたデザインスタンスを脱出し、自ら必要な事を想像し提案をすることの手がかりになります。
このプロジェクトは学生、社会の両方に対して「提案型のデザイン」の意識付けを目標としています。また、私たちが想像している以上に社会はこのプロジェクトに大きな期待をしている事を実感しています。このカリキュラムの指導にはデザインコースの教授全員と特許申請の専門家や外部の様々なジャンルの専門家を講師に加えて指導を行なっています。提案の内容は、テクノロジーのハイトローを自由に横断し、物の提案からイベンタブルな提案、短期的なもの、継続可能なもの、組織のアイデンティティを問うものなど、実にバリエーションに富んでいます。クライアントはこのバリエーションに富んだ分析から貴重な自己診断のデータを得ることが出来、同時に諸問題の解決の糸口を得る事ができます。彼らの提案は時としてあまりに自由過ぎて現実味を感じないこともありますが、「もしこんな事があったらどうなるのだろう?」とうひらめきを、繰り返し絵や形にしてみる事でリアリティーが増し、ブレークスルーするきっかけを与えてくれます。何かを解決したいと考える組織と、自分たちのデザイン力を社会に役立てたいと考えている教育機関の幸福な関係の一つのパターンです。
2009年のプロジェクトにおいては5案提案のうち2案が特許申請に至り、そのうち1案が特許を取得しました。そのほか学生のアイデアの一部を実際のイベントとして行われるなど現実的な成果をあげています。